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購買行動モデルの例|BtoCからBtoB(法人購買)まで解説!

購買行動をできるだけくわしく知ることは、営業やマーケティングの基本です。自社のお客さまの購買に関する行動をモデル化して有効な営業トークやアプローチ、マーケティング施策を実施します。

本記事では、営業担当者やマーケターのみなさんが知っておきたい基本的な購買行動モデルをまとめました。BtoC(消費者)だけでなく、BtoB(法人取引)の購買行動のモデルを紹介いたします。

購買行動とは?

購買行動とは、購入者が商品を購入するときにとる行動のことをさします。

購買行動は一般的に、個人としての消費者の購買行動と、法人としての購買行動に分けて考えます。

消費者の購買行動には「衝動買い」や「ついで買い」などで商品を購入することがありますが、法人の購買では複数人が関与して合理的に購入する傾向にあります。このような特徴から、購買行動のモデルは個人としての消費者(BtoC)と法人としての購入(BtoB)に分けて考えます。

法人(BtoB)の購買行動の特徴について
法人(BtoB)の購買に関する特徴についてくわしく「BtoBマーケティングの6つの特徴・5つの手法・4つのテクニック」にてまとめました。合わせてごらんくださいませ。

代表的な購買行動モデル(BtoC編)

購買行動モデルの中で、マーケターや事業にかかわるみなさまが覚えていただきたい代表的なBtoC(消費者購買)の代表的な購買行動モデルについて紹介します。

AIDMA

購買行動モデルとして一番よく知られているものが、AIDMAでしょう。マーケティングの教科書や授業には必ずと言っていいほど登場する購買行動モデルです。

AIDMA購買行動モデルは、注意を引き、興味を持っていただき、欲しいと思ってもらい、それが何かを記憶していただき、購買行動に移る、という流れをする消費者の購買をモデル化しています。

AISAS

購買行動モデルも時代に合わせて進化しています。インターネットでの購買が一般的になるにつれて、AISASという購買行動モデルが登場してきました。

この購買行動モデルは、検索してから最後に共有するところがポイントです。インターネットで検索エンジンの利用率が上がり、SNSなどで体験を共有するという現代のネット購買をよく示していると言えます。’

AISCEAS

次の購買行動モデルは、AISCEASです。先ほどのAISASIの検索と行動の間に、「比較(Compare)」と「検討(Examination)」が入ったモデルです。

今回紹介した基本的な購買行動モデルを理解しておくと、これ以外の購買行動モデルの理解も十分に可能です。

法人(BtoB )の購買行動で知っておきたい事前知識

購買行動モデルも、個人(BtoC)と法人(BtoB)では異なる点がいくつかあります。ここでは、しっかりと覚えておきたい法人購買行動モデルの2つのポイントをご紹介します。

法人(BtoB)の購買行動はとにかく合理的

お客さまの購買行動プロセスを理解した上で、どのお客さまにどのような価値をどのタイミングで考えることが、マーケティングでは大切です。

BtoCでは、100円のスナック菓子を食べることで得る経済「価値」を検討して購入するケースはほとんどありません。しかし、BtoBマーケティングでは、あなたが提供する価値から生み出す自社事業の事業メリットを「合理的」に検討する傾向にあります。ここに両者の購買行動の違いがあります。

BtoBマーケティングについて
BtoBマーケティングは、BtoCの消費者マーケティングにはないさまざまな特性があります。くわしくは「BtoBマーケティングの6つの特徴・5つの手法・4つのテクニック|マケフリ」を参考にしてください。

お客さまのニーズとあなたが提供する価値を理解するためには、お客さまの購買行動プロセスを把握することからはじまります。そして、お客さまのニーズにピッタリあった最高の価値を提供することによって、顧客満足がうまれ、お客さまのリピート購買や、知り合い・同僚への口コミによる推奨につながります。

法人(BtoB)の購買行動は複数人が登場する

法人企業の購買行動プロセスの特徴には、複数人の購買関与者が組織的かつ合理的に購買を進める点があります。BtoBの購買行動プロセスには、発注者だけでなく、案件の起案者、意思決定者、社内稟議における承認者、購買担当者、そして時には実際の利用者も関わります。

BtoBの購買行動プロセスを明らかにする理由には、お客さまの社内における購買にかかわる人たちを把握して、マーケティングや営業活動における対応を検討しなくてはなりません。

BtoBの購買行動プロセスを簡単なモデルにするために、ここでは「意思決定者」、「担当者」、「利用者」の3つの役割にまとめます。

法人の購買行動の3つの役割
購買行動プロセスにおける役割は取り扱う商材などによって異なる場合があります。例えば、「利用者」がお客さまのお客さまであるケースもあります。また少額の場合は担当者が決裁者になることもあります。

BtoBマーケティングでは、購買に関わる人を把握しておくことで、購買行動プロセスがより具現化し、顧客接点におけるマーケティングや営業活動でなすべきことがより明確になります。

一般的な購買行動モデル(BtoB編)

法人の購買行動モデルは、複数人が関与する傾向にありますが、とにかく合理的です。合理的であるため、購買行動モデルを明確にすれば、営業成約率が確実に改善することが知られています。

つまり、法人の購買行動モデルをしっかりと覚えて、プロセスの各段階で適切なアクションを実行すれば必ず営業商談の成約率が改善します。

法人の購買行動モデルを、シンプルな3つのステップにまとめました。

1:課題設定と社内案件化

BtoBの購買行動では、自社や事業の課題を認識し、課題解決のための製品やサービス購入の検討から始まることが一般的です。

担当者が情報収集の中で自社の課題を認識し、同僚や上司に報告することを通じて、社内プロジェクトや予算の確保ができるようになります。

情報収集は担当者がインターネットやセミナー、関連する展示会に来訪、などを通じて行われます。担当者が自分自身で情報収集できるかぎり、業者の営業と接触することはほとんどありません。

購買行動のこの段階において、担当者が予算概算を試算し、意思決定者と予算の調整をします。意思決定者は、購入に向けた購買行動プロセスの承認をします。

購買行動プロセスの初期の段階における対応
購買行動プロセスの初期の段階では、担当者は積極的に業者の営業と接触しません。そのため、ウェブサイトやブログ、セミナーなどで積極的に案件化を後押しする有益な情報を提供するようにしましょう。

初期の購買行動プロセスで、購買担当者や購買行動プロセスの関係者は、市場の動向や専門家の意見や知見、ノウハウなどを求めています。

課題設定と案件化で購買者が求める主な情報

  • 業界者市場の動向などの調査レポート
  • 専門家の意見や見解
  • 課題解決のノウハウやソリューション
  • 購買行動プロセスの課題設定と案件化の段階では、まだまだ購買に至るかどうか明確ではありません。しかし、購買行動の後のプロセスであなたの会社や製品がお客さまの信頼を勝ち取り、提案業者として選んでいただけるよう、この段階でお客さまの信頼を勝ち取るようにしましょう。

    購買行動プロセスの課題設定と案件化の段階では、あなたのていねいな対応や、豊富な知見やノウハウの提示、お客さまの状況や課題の理解を示すことが重要です。

    2:候補業者の抽出(接触リストの作成)

    購買行動プロセスが進んで社内で案件化すると、これまでに得た情報を精査して、提案を受ける業者探しをはじめます。担当者は最初に、自社の課題やサービスの要件定義をします。

    購買行動プロセスにおける要件定義
    課題設定と案件化の購買行動プロセスにある見込み客に対して積極的に情報を提供する企業は、信頼を集め、購買者が企業や製品・サービス名を覚えるため、要件定義やその後の購買行動プロセスが有利に展開できる可能性が高くなります。

    担当者は、自社が求める要件に会う製品やサービスを主にインターネットで調査します。時には、社内の専門家や知り合いに意見を聞いたり、情報をもらったりすることもあります。また社内の利用者が要望を伝えたり情報を提供したりすることもあります。

    情報提供においては、購買行動に関与するメンバーの合意を取る担当者の立場や責任をよく理解して十分な情報の提供をするだけでなく、ていねいで誠実な対応も必要です。

    提案業者になるための情報提供とは
    提案の候補となる業者を探し出す購買行動プロセスの段階では、購買行動プロセスの初期の課題設定や案件化のために提供する情報とは異なります。あなたの製品やサービスの価値、価格、費用対効果、業者としての信頼を示す情報などを提供します。

    また、BtoBビジネスの場合、企業間の取引はたった1回にとどまらずその後の継続的な取引につながることも多くあります。

    そのため、提案を依頼する前に、その業者は今後も継続的にお付き合いできる企業であるかどうかも評価します。ウェブサイトの企業情報で、一般的な企業情報に加えて、その企業のビジョン、理念、沿革なども担当者は目を通します。

    購買行動のこの段階で業者が提供すべき情報

  • 担当者の立場をよく理解した情報提供
  • 信頼おける企業であることを示す企業情報
  • 業者選定につながる製品やサービスの情報の提供
  • 3:業者提案の評価と購入のための選定

    法人の購買行動プロセスのこのステップでは、業者からの提案をうけて内容の評価をし、最終的に購買する製品やサービスとその納入業者を決定します。

    提案の内容についての質疑応答、提案内容と自社の要件の照らし合わせ、価格の評価をしながら、購入する業者を選定します。選定にあたって、利用者が製品やサービスを評価のためのテスト利用することもあります。いずれにしても、購買行動のプロセスの最終として、購買の決定を下し、社内稟議を通じて意思決定者の承認を得ます。

    BtoBの購買行動プロセスでは、提供価値と価格を比較します。導入による事業の経済的効果は、最終的な評価・選定の最も大きな指標です。

    評価と選定の購買行動プロセスでも、業者はわかりやすいていねいかつ迅速な対応で、担当者の信頼を勝ち取る必要があります。また、評価と選定の購買行動プロセスでは、技術や仕様に関して専門性の高さから感じる信頼性も、評価と選定のポイントになることに注意しましょう。

    業者を評価・選定する購買行動プロセスにおける業者の対応は、担当者や利用者が感じる導入後のサポート品質に直結します。

    また、生産財やカスタマイズ可能なシステムなどの場合には、規定製品の仕様に対してカスタマイズの要求、評価利用の依頼などがあります。担当者のこれらの要望にも柔軟に対応する必要があります。

    マーケティング戦略に活かす

    自社のお客さまの購買行動をモデル化することは、マーケティング、営業どちらの業務でも欠かすことができません。

    マーケティング担当者や営業担当者は、基本的な購買行動モデルを覚えて、自社のお客さまの購買行動のパターンをまとめ、マーケティング戦略や営業販売戦略を固めていく必要があります。

    購買行動の基本モデルを知っておくと、担当製品の変更や転職など、製品担当が変わった場合でもすぐに結果が出せるようになります。